ユニクロサッカーキッズと障がい者サッカー。
合い言葉は、「サッカーをもっとみんなのもとへ」。
先に採り上げるJFAユニクロサッカーキッズは、2003年から、JFAキッズプログラムの一環として行われているサッカーフェスティバルで、6歳以下の未就学児で、8人以上で構成されたチーム(経験の有無、男女は問わない)なら誰でも参加できるというものです。名前の通り、ユニクロが特別協賛でスポンサードしてくれています。これまでに海外ではシンガポールで、国内でも全国10数カ所で開催。毎年行われている会場も多くなってきています。動画を観るとみんな楽しそう~♪ 今回の大阪の京セラドームで行われた回では、聴覚障がいを持つ子どもたちも参加したそうです。次回は3月に神奈川のShonan BMW スタジアム平塚にて。現在参加チームを募集中です。
【記事】JFAユニクロサッカーキッズ in 京セラドーム大阪 開催レポート(JFA)2016/01/27
http://www.jfa.jp/news/00008701/
ユニクロサッカーキッズで聴覚障がいを持つ子どもたちが参加したと書きましたが、ちょうどいいタイミングで、障がい者サッカーに関する記事がJFAで出されました。
【記事】7つの障がい者サッカー競技を紹介する『障がい者サッカーHAND BOOK』が完成(JFA)2016/01/28
http://www.jfa.jp/news/00008706/
この記事で、最初に「JFAグラスルーツ宣言」というものが出てきます。JFAでは、2014年5月15日に「JFAグラスルーツ宣言」というのを掲げました。実はその前年、2013年にアジアサッカー連盟(AFC)のアニュアルアワードにおいて、JFAは「グラスルーツフットボール」の部門で受賞をしています(当時のJFAの記事)。グラスルーツとは、グラス=glass(草)、ルーツ=roots(根)、まさに「草の根」という意味で、グラスルーツフットボールには、「すべての人に平等にサッカーをできる環境を用意する」というような意味があるようです。元々はUEFA(欧州サッカー連盟)が力を入れている分野のようですが、この受賞により、JFAでもいっそう力を入れるスタンスになったということでしょう。
【ページ】グラスルーツ(JFA)
http://www.jfa.jp/football_family/grassroots/
そして、その「すべての人」の中に、障がい者も含まれています。2015年4月にJFAはようやく日本障がい者サッカー協議会を立ち上げ、国内の7つの障がい者サッカー団体(日本アンプティサッカー協会、日本ソーシャルフットボール協会、日本知的障がい者サッカー連盟、日本電動車椅子サッカー協会、日本脳性麻痺7人制サッカー協会、日本ブラインドサッカー協会、日本ろう者サッカー協会)と連携するようになったそうですが、それまでは障がい者スポーツが、一般のスポーツと異なり、医療の面から捉えられた厚生労働省の管轄(一般のスポーツの管轄は文部科学省)であったことから、関与しにくい面がありました。男子のブラインドサッカーの日本代表が、いわゆるサムライブルーと同じユニフォームを着ることができない件が、残念な例として話題になっていたのを覚えています。2011年8月に施行されたスポーツ基本法には障がい者スポーツの参加が言及されていましたが、2014年度からやっと文部科学省が障がい者スポーツも管轄するようになり、それまで文部科学省や厚生労働省など複数の省庁にまたがっていたスポーツ行政の関係機構を一本化する機関として、スポーツ庁が2015年10月に文科省の外局として設置されるなど、だいぶ整ってきました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催の決定も、この事情を後押ししたようです。
記事からリンクのはられているPDFの『障がい者サッカーHAND BOOK』(無料配布なわけですね)を拝見すると、一口に障がい者サッカーといっても、いろいろな種類があるんですね。この中で、女子に関して言及されているのは、「電動車椅子サッカー」と「精神障がい者サッカー」だけでしたが、2009年に聴覚障がいを持つ人たちのオリンピック=デフリンピック台北大会に出場した女子日本代表を採り上げた映画『アイ・コンタクト』(2010年劇場公開。公式HPはこちら。DVDも発売中)が作られているところからも、女子のチームは各カテゴリーにあるのでしょうか。この作品は、サッカーをテーマとした映画ばかりを上映するヨコハマ・フットボール映画祭の第1回最優秀プレーヤー賞を受賞しています(ヨコハマ・フットボール映画祭は現在は全国各地でその土地の名前で展開されるようになったようですね)。この映画に登場しているGKの佐藤愛香選手が、なでしこジャパンの川澄奈穂美選手の小学校の同級生で、同じくなでしこジャパンの上尾野辺めぐみ選手も一緒に属していた林間SCレモンズの一員だということはすでに有名かもしれません(私はマンガ『なでしこのキセキ 川澄奈穂美物語』で知りました)。デフリンピック、4年後の2013年のブルガリア大会にも女子日本代表が出場していて、その様子を『アイ・コンタクト』の中村和彦監督が、サッカーキングで連載で記事を書いていらっしゃったのが記憶に残っています。
また、今日、精神障がい者サッカーの世界初の国際世界大会を大阪で開催することがJFAからニュースとして出ていました。精神障がい者サッカーは、別名ソーシャルフットボールと呼ばれるとのことで(上記でも協会名に使われています)、「年齢・性別・人種・貧困・家庭環境・障がいなど、あらゆる違いを超えて社会連帯を目指したフットボール」という意味でイタリアで呼ばれるようになった名称なのだそうです。国をあげて精神病院を廃止したイタリアならではの呼称ですね。この写真と説明を見ると、女子は、男子に混じる形で参加するようですね(女子の参加はフットサルに限られるのかな?)。第1回大会の参加国は、イタリア、ペルー、日本です。
【記事】世界初のソーシャルフットボール国際大会を大阪で開催(2/24~29) ハリルホジッチ監督らから応援メッセージ(JFA)2016/01/28
http://www.jfa.jp/news/00008707/
追記で。最初に書いたユニクロサッカーキッズのフェスティバルで、聴覚障がいの子どもたちが参加したことを、改めてJFAが記事にしていました。
【記事】聴覚障がいがあっても一緒に楽しく~JFAユニクロサッカーキッズ in 京セラドーム大阪から~(JFA)2016/02/05
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