福島・富岡高女子サッカー部、最後の交流試合。

どこからどうやってお話をしよう。

私が初めて富岡高校の女子サッカー部のことを知ったのは、2012年6月です。女子サッカーの応援を本格的に始めたのが2011年の秋で、その冬から女子サッカーのニュースをいろいろ拾ってみて約半年後のことでした。

洗剤や歯磨き粉などの衛生用品などの製造で知られるP&Gが、その衣料用洗剤のブランド「アリエール」の名前を冠した、18歳以下のスポーツ少年少女に贈る「ホワイトアワード」というものを2012年の4月に創設することを発表しました。そして、初年度のスポーツには女子サッカーが選ばれ、初代選考委員には澤穂希選手(当時)が選ばれていました。発表は6月でした。どんなチームがメダル(ホワイトアワードということで白いメダル)をとるかなと思っていたところ、それが東日本大震災によって部の活動が困難に晒されながらユース選手権を戦った、福島県立富岡高校女子サッカー部になったのです。

当時私が拾った記事はいずれも消失していたので、まだ残っている記事を少し拾ってみます。そもそもこのホワイトアワードの企画は、アリエールが展開した「あなたにエールを。プロジェクト」の第2弾として立てられたもののようですね。2本目のサカイクの記事にリンクが載っていますが、4本目にあげた当該のFacebookページに、賞の設立の過程や受賞式、その後の富岡高の様子もしばらく載っています。その後の記事がないところを見ると、ホワイトアワードは結局、第1回しか行われなかったのでしょうか。5本目の記事は、短い期間ですが、さまざまな分野のニュースを集めておられた?個人の方のブログです。記事からはられていたと思われるリンクがとれたりしていますが、とても丁寧に調べて書いておられます。

【記事】アリエール WHITEAWARD(ホワイト アワード)が創設(Qoly)2012/05/05

https://qoly.jp/2012/05/05/9640-ariel-whiteaward

【記事】「アリエール WHITE AWARD」の受賞チーム決定(サカイク)2012/06/04

http://www.sakaiku.jp/topics/2012/002580.html

【記事】澤穂希がスポーツ少年&少女にエール、「アリエール WHITE AWARD」決定(マイナビニュース)2012/06/05

http://news.mynavi.jp/news/2012/06/05/109/

【記事】あなたにエールを。プロジェクト(Facebook・アリエール)

https://www.facebook.com/pg.osentaku

【記事】「アリエール ホワイトアワード」に震災を乗り越えた福島県の高校女子サッカー部 澤穂希選手が“ホワイトメダル”を授与(ブログ「aoejndeのblog」)2014/10/18

http://blog.livedoor.jp/aoejnde/archives/15092015.html

その頃から、富岡高の女子サッカー部は、私にとって頑張ってほしいチームの一つになりました。当時の私は、受賞に際してよくこの富岡高を探してきたなという印象だったのですが、こうして改めて調べてみると、震災と縁のある賞だったんですね。


私が次に富岡高を採り上げた記事に出会ったのは、翌年2013年1月。朝日新聞の記事でした。記事はすでに公開期間が終わっています。当時書いたことをそのまま出してみます。

福島、東京電力福島第一原発から約10キロの距離にあった富岡高校の女子サッカー部のことが記事になっています。富岡高校は、昨年の全日本女子ユース選手権の東北大会では、富岡高校として10人で臨み、準優勝で終わっている県内の強豪校でした。今年は部員が減り、試合を成立できる人数でなくなったため、福島市内のFC BLOOMというクラブチームに入って全日本女子ユース選手権に臨みました。全国大会に進みましたが、初戦の相手が優勝した日テレ・メニーナで、大敗。それでも前を向く選手たち。主将が話していた「富岡の歴史」、また復活する日が早く来てほしいですね。この記事、大部分が会員でないと読めないのですが、無料会員でも1日に3本は記事が最後まで読めるので、あえてご紹介します。
【記事】地元クラブで再出発 富岡高女子サッカー部の6人 福島(朝日新聞)2013/01/28

このFC BLOOMに富岡高が参加している件と、ユース選手権での結果に関しては、アリエールのFacebookページにも書いてあります。


次に出会った富岡高の記事は、同じ年の6月に出されたものです。インターハイ(高校総体)での県大会の結果で、「福島は、昨年は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故のために部員が減少し、人数不足でインターハイに出場できなかった富岡が優勝しています。」と当時の自分は書いています。そのときに拾った福島民報の記事は、これも公開期間が終わっているようです。タイトルだけあげておきます。

【記事】男子は尚志4連覇 女子の富岡も 県高体サッカー(福島民報)2013/06/02

このときのことを、大森琢磨さんのやっている女子サッカーのウェブマガジン「みんな@サッカー」でも記事になさっています(全文有料記事で、記事自体にリンクがはれないのですみません)。ちなみに女子サッカー、特に高校生世代の女子サッカーのことを知りたかったら、このサイトは月額払っても損はないです。チームの人数の件は、ここでも「9人で」って書いてあって、どうやって戦ったのか結局分からなかったんですが、東北大会に進んでいます。

【記事】[インターハイ予選]富岡高校、充実した練習環境ベースに9人で東北大会に進出(みんな@サッカー・有料記事)2013/06/06


次に見つけた記事がその1カ月後の7月。今度は神奈川県の地元紙「カナロコ」の記事でした(女子サッカーのこともけっこう採り上げてくれるメディアです)。神奈川のみなと総合高校の女子フットサル部員たちが、震災後にできることを探った結果、自分の高校で開催したフットサル大会に(大会としては前年から開催)、福島の女子サッカー部を招いたというお話で、そのサッカー部というのが富岡高校の女子サッカー部でした。拾った当時からはサイトがリニューアルされてアドレス変わっていましたが、記事は残っていました。

【記事】プレー続ける姿に感動、横浜の女子高生が福島のサッカー部招きフットサル交流/神奈川(カナロコ)2013/07/22

http://www.kanaloco.jp/article/59025

この話、いいなぁと思っていたら、その後も2校のご縁は続いていたようです。私の情報収集がしばらく滞って、その後、今のこのサイト(nadeshiko mini news)に繋がってくるのですが、また採り上げることができました。

【記事】神奈川県みなと総合高、福島県富岡高を招いてフットサル大会。(nadeshiko mini news)2016/03/19

https://nadeshikomininews.amebaownd.com/posts/641245

この中にも書きましたが、富岡高校は同じ双葉郡のいくつかの高校と同様に休校が決まっており、代わりに福島県立ふたば未来学園高等学校が開校しています。この件については、これより少し前の2月に別のエントリーに少し詳しく書いてみました(記事としてはJFAアカデミーの各校についてのもので、最後にJFAアカデミー福島のことを書いています)。少しややこしいですが、JFAアカデミー福島と富岡高校の女子サッカー部とは別のチームであり、JFAアカデミー福島に所属する高校生が地元である富岡高校に通っていた、ということです。両チームを掛け持ちしていた選手はいないと聞いています。

【記事】JFAアカデミー。(nadeshiko mini news)2016/02/04

https://nadeshikomininews.amebaownd.com/posts/472621


富岡高について、私が情報を拾えなかった2014年途中~2015年末までの時期のことを少し追ってみます。2014年9月に、富岡高は高校選手権の予選の県大会で2連覇して、東北大会へ。みんな@サッカーが無料記事で富岡高の全国大会出場のことを書いてくれているので、あげさせてもらいます。記事によると、これが震災以来、初めての全国大会出場になったそうです。

【記事】[高校選手権予選]東北|3位決定戦 富岡が4年ぶり全国、明桜に5発快勝(みんな@サッカー)2014/10/28

http://minasaka.net/web/10705

みんな@サッカーでは、2015年1月の高校新人戦の富岡高の様子も記事にしてくださっています。東北エリアでベスト4まで来ていたようですね。(サイト内で「富岡」と検索すると有料記事、無料記事、写真などいろいろ出てきます。ご参考までに)

そして同じくみんな@サッカーの記事では、6月の高校総体(インターハイ)で、学校名が「富岡・ふたば未来学園」となっています。先の2016年の神奈川でのフットサル大会でも、ふたば未来学園の生徒が一緒に来ていたようですが、2015年の頃から、一つのチームとして活動するようになったようです。東北大会で準決勝の試合に勝利して、この年のインターハイの全国大会への出場権を獲得しています(全国大会では1回戦で岡山の作陽高校に敗れています)。

【記事】[高校総体]東北|準決勝 聖和学園と富岡・ふたば未来学園が初のインターハイへ(みんな@サッカー)2015/06/21

http://minasaka.net/web/10988

2015年秋には高校選手権の予選。やはり富岡・ふたば未来学園として出場、東北大会の準々決勝で敗れています。

【記事】[高校選手権予選]東北|準々決勝 聖和学園、富岡・ふたば未来学園に薄氷の勝利(みんな@サッカー)2016/10/24

http://minasaka.net/web/11107


私が拾っていた情報に戻ると、2016年3月には、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースに入団した、JFAアカデミー福島の若林美里選手のことが記事になっているのにも出会いました。若林選手は、他のJFAアカデミー福島のメンバーと同じように?富岡高校に通っていて(もうこの時期はすでに4つのサテライト高に散っていて、若林選手が富岡高生だったということかもしれません)、高校の卒業式での答辞を読んだそうで、その文章が素晴らしかった・・・という記憶なのですが、当該の朝日新聞の記事、答辞の入っている後半のが会員限定で、私がかつて読んだときは無料会員でも読めたのですが、今は有料会員限定になってしまっていました。。内容までは全然覚えてない。。でも記事はまだ生きているので、お読みになれる方のためにあげておきます。

【記事】千葉)福島離れ5年、サッカーで恩返し ジェフ若林さん(朝日新聞・会員限定記事)2016/03/07

http://www.asahi.com/articles/ASJ325HNDJ32UDCB017.html


そして、ようやく現在、2017年に追いつきました。富岡高がこの3月で休校になるに当たって、女子サッカー部による交流試合が行われることが記事になりました。対戦する相手は、同じ福島のごくご近所で、かつてなでしこリーグで戦っていた東京電力女子サッカー部マリーゼの元選手たち。

東京電力マリーゼは、おそらくこれを読まれる皆さんはご存知のように、JFAアカデミー福島と同じくJヴィレッジを拠点としていたチームです。震災及び福島第一原発事故により休部となり、チームはベガルタ仙台レディースとして移管されて生まれ変わる形になっています。

Jヴィレッジは、震災後、福島第一原発事故の対応拠点となって、長らく施設としては閉鎖されており、2013年には東京電力によって、福島第一原子力発電所の事故に伴う賠償や除染への対応を強化するための「福島復興本社」が置かれるなど、いくつかの経緯をたどっていますが、現在は、復興プロジェクトによってスポーツ施設としての再開に向けての道を歩んでいます。復興プロジェクト自体に関しては、一度エントリーにまとめました()。すでに公開されていない記事へのリンクも含まれていますがご了承を。またプロジェクトのための公式サイトも開設されています()。

そして、以下が交流試合の前に拾えた記事です。

【記事】女子サッカー『魂』...未来へ 14日、富岡高が最後の交流試合(福島民友)2017/01/05

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170105-139237.php

【記事】1月14日に広野で交流試合 富岡高女子サッカー部(OG)とマリーゼOG(福島民報)2017/01/10

http://www.minpo.jp/pub/topics/odekake/2017/01/post_5808.html

【記事】<原発事故>休校前に復活誓いキックオフ(河北新報)2017/01/13 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170113_63015.html

さらに以下が試合後の記事です。両チームのOGとして、現在、なでしこリーグで活躍中の選手たちも多数集まったことで、共同でも記事になりました(共同をベースにした記事で、採り上げる産経新聞以外に、毎日新聞でも後半有料記事として同様の出だしで出ていました)。

【記事】【福島第1原発事故】 原発事故で3月に休校の富岡高 女子サッカー部が東電マリーゼと最後の交流試合(産経新聞)2017/01/14

http://www.sankei.com/sports/news/170114/spo1701140025-n1.html

【記事】最後の交流試合 富岡高女子サッカー部と元マリーゼ選手(福島民友)2017/01/15

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170115-141587.php

【記事】富岡高女子サッカー部とマリーゼOG 休校前に交流試合(福島民報)2017/01/15

http://www.minpo.jp/news/detail/2017011538148

記事に上がった山根恵里奈選手(千葉)、菅澤優衣香選手(この日に千葉から浦和に移籍が発表に)、鮫島彩選手(神戸)の代表クラスの選手だけでなく、マリーゼが移管されたベガルタ仙台レディースにいる元マリーゼの選手たちの姿も。ベガルタ仙台レディースは、福島から避難した子どもたちのために毎年サッカー教室を開いています。その件は、以前に一度、エントリーしてみました()。

ここで大事なのは、Jヴィレッジもその敷地の一部がかかっている広野町のサッカー場で、この交流試合が行われたということです。現地に戻ってサッカーの試合をすることができた、というのは富岡高の関係者の方々にとっても、マリーゼの関係者の方々にとっても、とても大切なターニングポイント、うーん、ターンじゃないかな、、メモリアル?なポイントだったんじゃないか、本当に素晴らしい企画の実現だったと外野の身分からは思います。かつて富岡高の女子サッカー部にとって憧れだったマリーゼの元選手との対戦、というのも素敵でしたね。皆さんにはこの6年近い期間、きっと当事者でなければ想像できないような類の心の負担があったと思います。ここでもう一度、長らく遠ざけられていたかつての地元の地を踏んでサッカーの試合をしたことで、心の整理につながり、さらに前へ進む力になってくれたのでは。そうであってくれたらいいなと願います。

最後に、福島民友から出た記事をあげますが、マリーゼ再興を願うという内容です。前出の東京電力の福島復興本社の代表の方が仰ったことですが、私はこれに関しては、少々口にするには時期尚早だったのではないかと残念に思っています。すでにマリーゼは移管されて仙台というチームができていますし、今の状態の東京電力で再びチームをもつという考えに対して多くの人の理解を得るのは難しいのではないだろうかと感じます。でも夢として持ち続けられ、もっと、ずっと時間が経って、女子サッカーも元気で、東電が健全な状態になったときに改めて検討され、実現に至ったら、福島の復興が大きく進む、もしくは新たな地平に至った証となるかもしれないですね。

【記事】女子サッカー再興願う 『マリーゼ』復活に意欲、東電復興本社代表(福島民友)2017/01/15

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170115-141603.php


以上、相当長くなり、うまくまとめられているかも自信がありませんが、私が心の片隅で応援してきたチームの休部に対して、私の心をまとめるために書かせてもらいました。






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女子サッカーがいつも見えるところに。

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